ミサイル・大砲の展示室

米ソ冷戦時に開発されたミサイル等のキットを紹介していきます。


NIKI HERCULES 1/40Scale     Revell

独RevellのClassicシリ-ズからHawkに続く地対空ミサイルNike Herculesのキットです。
ともにアメリカが開発した高性能地対空ミサイルで日本の自衛隊でも採用されて日本の防空網の要として長年運用されてきました。

Nike(ギリシャ神話の女神ニケ)は1953年に開発されたAjax型とその改良型として58年から配備が開始されたHercules(ヘラクレスだね)がありますが、ともに飛来する航空機の高高度長距離迎撃を任務としました。
日本ではまず陸上自衛隊がAjaxの供与を受け、後にこのHerculesをNike J型として三菱重工業でライセンス生産して航空自衛隊に装備。後に沖縄の米軍のHerculesも移管され、これらは平成6年まで運用されました。
Nikeシリ-ズにはZeus(ゼウス)という最終バ-ジョンがあるのですがこれは途中のB型からLIM-49 Spartan (スパルタン)と呼称されて別扱いとなっています。
このZeus/Spartanは航空機ではなく大陸弾道弾の迎撃用として改良開発されたもので大気圏外の高高度で搭載核弾頭を爆発させ、その爆発によって発生する強力なラジエーションで敵弾道弾を無力化するというコンセプトでした。
しかしながら同時に発生する強力な電磁パルスによって敵味方の別なく無防備の電子機器やコンピュ-タは損傷を受け、また通信ネットワ-クや電力供給ネットワークにも大きな障害を与えることがわかり早期に退役してしまったミサイルです。

AjaxのキットはRevellのHistory Maker シリーズから1/32スケ-ルで出ていました(これも再販)がもう少し小さいスケール(1/72位?)ものが家のどこかにあるはずなのですが行方不明状態。キットのミサイル本体が一体成型ながら一段目と二段目に結合・分離できていました。

Herculesのキットは今回紹介するRevellのもの以外にはその昔AURORAからも1/48スケールのものが出ていました。

このHerculesの一段目はAjaxのものを4本束ねたものなので全体的に断面が太く、また第2段目の制御フィンが大型化されているのも箱絵から判ります。
最後にこのNike J/Herculesの後継として導入されたシステムがあの北朝鮮の長距離ミサイル発射時に首都圏と東北で迎撃態勢をとったパトリオットミサイルです。

後日ご紹介の予定です。

 

Parts

 

 

 

 


NIKE AJAX 1/100 Scale RMM 

これが見つかったAJAXの豆キット。

 メーカーはRoskopf Miniature Modelle。すでにメーカーは存在していません。

Wikingが引き継いだとも.......

 

 

 

 

 

 


HAWK MISSAILE 1/32 Scale  Revell

レイセオンとノースロップが開発したMIM-23 Hawk迎撃ミサイルです。

前回のNikeが高々度で進入してくる航空機等の長距離迎撃を主任務としたのに対して、同じセミアクティブレーダー誘導方式であるHawkは低空で進入してくる航空機等の中・近距離迎撃を任務とします。牽引車により移動可能な発射台には箱絵の様に3発のホークミサイルが装填され360度上空に睨みを効かします。

ミサイルの移動発射ステージ、対象物捕捉レーダー、対象物測距レーダー、ミサイル誘導用イルミネータとシステム化されていてワンセットで運用されます。箱絵の大口径スピーカーの様な独特な形状のものがイルミネーターです。
 
日本では三菱電機でライセンス生産したものを陸上自衛隊が採用し(ナイキは航空機扱いでこのホークは対空砲扱いということ。地上発射ミサイルなら本来は陸軍管轄のはずなんですが.........)、改良を重ねながら永らく運用されてきましたがさすがに寄る年波には勝てず、パトリオットの中距離迎撃バージョンとも言うべき純国産の03式中距離誘導弾システムに入れ替わりつつあります。この03式は多目標同時追尾性能においてはパトリオットの上を行くと言われていますがはたしてその性能や如何に?

そうそう先のNikeとこのHawkのキットは共に全世界5000個生産とBoxに記載されています。
でもやっぱりナイキとホークは迷彩でなく白くなきゃな~、めだっちゃてもね。
 

キットパーツ類

 

 

組立説明図



BOEING IM-99  BOMARC ボマーク

ボーイング社が1951年に米国空軍(陸軍)との契約により開発した(当時の冷戦時代のソ連の)戦略爆撃機撃墜用長距離地対空ミサイルです。

ご覧のような当時盛んに研究開発されていた一連の航空機タイプのミサイルで一時期は無人迎撃機としてF-99と呼ばれていた時期もありましたが、軍の呼称改変等で通常型地対空ミサイル型をこのIM-99とし、核弾頭搭載型をCIM-10と決められました。

ランチャーからのゼロ発進はまずは液体ロケットブースター(後に固体ロケットに換装)で飛翔・加速していき次いで本体のラムジェットに点火して空軍のSAGEシステムとリンクし、敵機に向かっていく大型ミサイルシステムであり、米国とともにカナダにも配備され10年以上第一線におかれていました。

カナダが独自に開発中のAVRO CF-105 アロー超音速迎撃機計画を打ち砕いた張本人とされています。

 

キットはRevellの古いキットですがこの前にオーロラからいつもの如く試作段階のフライングキットも出ていました。

 

 


SNARK    1/48 Scale     LINDBERG

USAFが大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実用化までの繋ぎとして実用化した大陸間長距離巡航ミサイルのSNARK SM-62のモデルです。

ご覧の通り海軍の開発した潜水艦搭載型巡航ミサイルのRegulusを大型化したデザインで無人攻撃機のような姿から一時期は無人爆撃機としてB-62のコードが与えられた事もありました。

1958年に配備開始、その3年度ICBMの実用化から退役しています。

射程距離は十分米国から当時のソ連をカバーする物でしたが慣性航法装置のみの自立誘導だったため長距離の飛行精度は限界がありました。

リンドバーグの古いキットですが少し前に再販されたものです。

ミサイル本体よりも付属のランチャーや牽引車の出来が良いキットでした。



組立て説明図とデカール





TERACRUSER with MACE 

1/32 Scale   RENWAL:reproduct 

RENWALの古いキット「テラクルーザー&メース巡航ミサイル」の再生産版です。

マーチンが開発した初期の核弾頭搭載型大型巡航ミサイルMGM-13 MACE(メース:初飛行1953年)と移動発射台/運搬トレーラーのテラクルーザーのセットです。

このキットは特にテラクルーザーの出来がよいとの評判が高く、この再生産版がリリースされるまではネットオークションでも高値で取引されていたキットです。

MACEは東西冷戦時代の一時期、日本の沖縄にも配備されていましたがこれは移動型ではなくサイロ配備型CGM-13の射程延長型MACE-Bでした。

最近TV番組で内部施設等が撤去されて閉鎖後永年放置状態だったサイロ内が放映されましたね。

キットは購入後いまだにシュリンクを開けておらず、278パーツという中身も確認していません............

 

 


PATRIOT MISSILE M901 

1/48  Sale         ARII

弾道ミサイル防衛構想BMDにおける中間迎撃段階であるイージス艦搭載型迎撃ミサイルSM-3と航空自衛隊のパトリオットシステム最新型PAC3/Config3。
このPAC3は湾岸戦争においてイラクのスカッドミサイルを迎撃するためイスラエルに実戦配備され、ある程度の迎撃に成功したものの思ったほど迎撃率が上がらずにその効果が疑問視されたパトリオットミサイルシステム(PAC2)の更なる改良版。

移動型の陸上発射方式ゆえ陸上自衛隊の管理下だと思っている方もおられるかと思いますがナイキ地対空長距ミサイルの後継として航空自衛隊が管轄しています。
キットは湾岸戦争直後にARIIからリリースされた1/48スケールの米陸軍のパトリオットシステム(PAC2)発射装置M901。

実際のシステムはミサイル発射装置運搬車、ミサイル管制指揮車、レーダーシステム、及び通信アンテナ車の中核4ユニットに加えて幾つかの付随車で構成されていますがリリースされたのはこの4キットのみ。
ミサイル発射機本体と指揮車を買って残りをそのうちと思っていたらいつの間にか店頭から姿を消してしまい、その後航空自衛隊仕様として一式が再販され購入した次第。自衛隊仕様といっても変わったのはボックス写真とデカールだけでキットそのものは古い米軍仕様のキットのままでしたので。
航空自衛隊では前にご紹介したナイキ・ハーキュリーズの後継システムとして長距離迎撃型のPAC2システムを導入。その後BMD構想の一翼を担うべくミイル本体がスリムになった弾道弾迎撃用PAC3弾発射対応のPAC3システムを自衛隊正式装備トラックの荷台に乗せた形で新規に追加装備していますので、装備後改修型として米国陸軍仕様と同様のトレーラー型も存在しています。

まあ牽引車が異なるのが大きな違いです。キットはこのトレーラー方式のままでこのことは箱と組立説明図にも記載されてはいます。
まあ古いキットもそのまま使えるからいいか?でもそれなら米陸軍仕様のデカールも入れておいてくれれば良かったのに......。

あれ、フェーズドアレーレーダー車がないぞ?

 

パトリオット発射指揮車(米軍仕様)

 

 

通信アンテナ車(航空自衛隊仕様)



NATO MLRS    1/35 Scale DRAGON

湾岸戦争時、砂漠にズラリと並んだこのMLRS:MULTIPLE LAUNCH ROCKET  SYSTEMからイラクに向け夜空に一斉に掃射されたロケット弾の雨はまるで真夏の花火ナイアガラを見るようにその周囲をまぶしいくらいの明るさで照らし出していたのを覚えている方も多いと思います。

この多連装ロケットシステムは米国陸軍が開発したもので1982年からM270(A)として装備が開始されています。

その絶大な火力と有効性からNATOや日本の陸上自衛隊も正式採用しています。

モデルはNATO仕様ですが車体前部のキャビンの窓には良く前が見えないんじゃないかと思える様なルーバーが装備されていますがこれは自身の発射するロケット弾が発する強烈な光やデブリ(小破片)から乗員を守るためで、加えてこのキャビンは発射時に周囲に漂う有毒ガスの侵入を防ぐため完全機密状態に保たれています。うーん、それほどすごい火力なんですね。

 

 


German Mörser Karl

独軍600mm自走臼砲カール:

輸送貨車付1/72S cale Hasegawa

これも古いキットで、記憶が正しければオリジナルの1970年生産品です。今は箱絵も新たな再販品が手に入ります。

当時このカールとレオポルドが発売され、そのパーツの細かさ、多さにびっくりしたものです。

何時か造ろうと重いながら永らく行方不明だったこのカール、やっと発見です。永らく闇にひっそり封印されていたためかBoxも当時のまま。いやいや大掃除はしてみる物ですね。

レオポルドは列車砲でしたが、このカールはご覧のようにスペースシャトルのクローラーのような巨大なキャタピラを持つ自走砲でした。しかし自重120tのカールは時速で10km程度しか出せず、作戦地点への移動は箱絵の専用貨車と特別なクレーンに吊られて移動しました。

フランスマジノ要塞等の攻略用に開発され、1940年から7両(試作1台、量産型6台)が製造されましたが実際にマジノ線の攻略には投入されませんでした。

またカールは通称で7台それぞれに愛称がつけられています。

1945年の西部戦線に投入され最後の戦闘に入るもソビエト軍の侵攻でドイツ軍は敗退。各地で整備中だった車量を含めて放棄されたカールの半数はソビエト軍やアメリカ軍に捕獲され戦後性能試験されたとの記録が。

まあ造ったはいいが役に立たなかった世界の珍兵器のひとつであったことは間違いありませんね。

 



M65 280㎜ ATOMIC CANNON

1/32 Scale   RENWAL:60th reproduction

RENWAL操業60周年を記念して再生産した古いキットの一つです。

冷戦時代に開発された核弾頭射撃用野戦砲M65のキット。

当時は原子砲:アトミックキャノンと呼ばれていました。

このM65は20基生産され、おもにヨーロッパや韓国といった東西陣営境界最前線に配備されましたが結局実射は1953年米国ネバダ砂漠の実験場で行われた試験発射(グレイブル試験)一回のみ。箱絵はそのお披露目試射時の光景を参考にしたものでしょう。

幸いなことに1963年には全基退役しています。

前後2台の専用トレーラーで移動可能なため、固定配置されるのではなく頻繁に移動運用されていました。

これも未だにシュリンプラップを剥がしておらず、中身は未確認状態です。