イギリスの客船 2


ELDER DEMPSTER Lines

SS Aureol

Elder Dempster Lineが1951年に新造し英国~中央アフリカ航路に投入した1万4000tの貨客船 MV Aureolです。

同社が建造した最大級の船でした。

1974まで定期航路運航に従事しましたがパナマのMarianna Shippingに売却され改修後Marriana Ⅳと改名して紅海に面したサウジアラビア中部の大都市Jeddahにて浮かぶオフィース・レジャー施設船として利用されました。

1989年に係船状態で放置、2001年に廃船となりインドにてスクラップとなっています。

 

このモデルについて

Len Jordan Modelsの1/1250スケールのレジンキャスト組立モデルの完成品です。

英国のモデラーの方から作品を譲っていただきました。

ご覧の通り組立、塗装は完璧で相当お買い得でした。

あとはプロムナードデッキの墨入れくらい追加するつもりです。

できあがりましたら追加写真をアップします。

まずはオリジナル作者の方に敬意を表してこのまま撮影したカットを載せました。

 

船尾から

船首部



船体中央部

船尾部



Pacific Steam Navigation Company

SS Reina Del Mar  

レイナデルマー

英国の老舗船会社Pacific Steam Navigation Companyが最後に建造した南アメリカ定期航路向け客船、Reina Del Mar 2万234総tです。

造船所はあのTitanicを建造したHarland & Wolfです。

1956年4月就航から8年間定期航路サービスに従事し、1964年にハーランド&ウォルフ造船所にて2クラス制のクルーズ船に再改修されています。

この船はUnion-Castle Line, Canadian Pacific, Royal Mail Linesが共同で設立したTravel Savings Association(TSA)にチャーターされて黄色のファンネルにTSAの文字が入れらますがすぐにUnion-Castle の単独運航船としてモノクラス制のクルーズサービスを実施しています。

1969年に船はRoyal Mail Lines に一度転籍しますが1973年には再度Union-Castle Lineに買い戻され、その2年後に台湾のスクラップ業者に売船その生涯を閉じました。

 

このモデルについて

CMKR製の1/1250スケールのダイキャストモデルです。

元々白亜の船ですがご覧の通り船体喫水下、プールとファンネルのみ塗装されているだけです。

ただ細かい造形、蝕刻は同社のモデルとしては上位の出来と思います。

デッキやライフボートや附機類を追加塗装し、船窓の墨入れをすれば結構映える船と思いますので改修が済みましたら写真を入れ替えます。

 

オリジナル 船尾から

 

オリジナル船首

オリジナル船尾



Union Castle Line

Reina Del Mar (1964) 

レイナデルマー

Pacific Steam Navigation Company最後の定期航路船であった同船がハーランド&ウォルフ造船所に戻されクルーズ専用船に改修され、Union-Castle Lineの専用船になった1964年当時の姿です。

船首部ブリッジ前のステージ状船橋楼が拡張され英国のサザンクロスというこれまた有名な客船に面影が似ています。改修前の船倉とデリックブームも廃止され、船体はユニオンキャッスルの淡い紫色に変更されました。

個人的には改修後のこの紫の船体の方が好きです。

 

このモデルについて

Len Jordanの1/1250スケール レジンキャスト製の組立キットです。

一発抜きの船体とホワイトメタル製の船首マストが一本付属しているだけのキットで塗装と船尾両舷のクレーンは自作しないといけませんが取り付け位置はきちんと本体に細い穴でマークされています。真鍮線で簡単に自作できるでしょう。

 

船首部造形


船尾部の造形

 

 


Reina Del Mar 完成

キットの状態でご紹介したレイナ・デル・マーが完成進水の運びとなりました。

今回船体をアクリル系塗料のスプレー塗装で実施しましたのでブリッジ等の船窓墨入れはラッカー系塗料/シンナーによる常套手段を使いました。

やっぱりこの方が綺麗に仕上がりますね(今後CMKRのモデルでも試してみようと思ってます)。

船体のユニオンキャッスルカラーが同社船体群の写真を含め今いち判定しづらかったのですが(もう少しグレー系?)この船にはこのぐらいの紫が強い色の方が見栄えがするのでは?と勝手に決めました(笑)。ファンネルのレッドはもう少しオレンジが入っていた方がよかったかもしれません。

ライフボート内部は写真類から縁はレッドに着座部はグレーで塗装しています。

後部クレーンデッキは真鍮ロッドで自作。船首メインマストは最初キットのものをつけてみましたがちょっとバランスが悪いので(全体に縮尺が伸びすぎ)クレーンブームとともに真鍮ロッドで自作しました。メインマストの高さはこんなもんでしょう。

最後に船首に真鍮線でフラッグポールを設置して完了です。

今回クルーズ時を意識して新規に「なみいたくん」ベ-スの上で撮影してみましたが船体への波表面の乱反射の映り込みが強すぎますね。

 

後姿

 


船首部


プールデッキ


船体中央部



RMS Edinburgh Castle 

エジンバラ・キャッスル

1948年にUnion Cadtle Lineが第二次世界大戦後に初めて建造就航させた定期航路船、SS Edinburgh Castle 2万8700総tです。

1910年建造の同名船から名を引き継いだ2代目となるこの船は姉に当たるPretoria Castleとほぼ同時に建造され、アフリカルートに投入されました。

Pretoria Castleは少々名前の由来が複雑で、1939年に建造された1万7000t級の先代同名客船がありましたが、これは大戦時に空母HMS Pretoria Castleに改造されています。戦後再度ユニオン・キャッスルラインに戻され客船仕様に再度大改造されましたがその時点で船名をWarwick Castleと改名しています。

姉妹船Pretoria Castleはその名を継いだ形で新造された船です。

先代のEdinburph Castleも同じように英海軍に軽空母HMS Edinburph Castleに改装されていますがこちらは沈没しています。

ご覧のように船楼が低く、228mという長いスリムな船体デザインが特徴の船で、いかにも高速航行ができそうな外観です。実際巡航航行速度は23ノットとされています。

船名にキャッスルを冠する同ラインの客船群の中でも一、二を競う美しい船と思うのですが......。

1960年代になってPretoria Castleともども就航当時にはなかった細いレーダーマストがブリッジ上に追加され、これだけで見た目が大きく変わったように思います。

1976年にスクラップに。

 

このモデルについて

CMKR社の1/1250スケールのダイキャスト製です。

レーダーマストが増設されていない就航当時の姿のモデルとなっています。

ご覧の通り船体の造形は非常に良いもので、後はデッキ塗装を追加すればさらに見栄えが上がると思います。

この船もドックで改装の順番待ちを永らく続けている一隻です

 

船尾から

 

 

船首部


船体中央部


船尾部

 


Edinburgh Castle 再び

先にオリジナルのモデルをご紹介済みでしたがデッキ等未塗装でした。やっと少し手を加えてやれました。

基本的にメーカー出荷時の姿は船の就航当時なのですが、それならば船首と船尾のマストとデリックブームは白ではなく茶系。

そこで後にブリッジ上にレーダーマストを増設した姿にしてみました。この時点ではマスト類も白に塗装し直されていましたので。

 

やっとデッキを塗装してやれました。

プロムナード・ボートデッキの塗装

 

 


RMS Pendennis Castle

ペンデニス・キャッスル

Union Castle Lineが1958年にアフリカ航路に就航させた貨客船Pendennis Castle 2万8582総tです。

同社は30年に及ぶアフリカ航路サービスに従事したArundel Castleの代替船として1955年1月にサザンプトンの老舗造船所ハーランドウォルフに発注。当初船体はPretoriaクラス三番船として建造中でしたが船体規模を増大するために船長を18フィート延長する変更や造船所のストライキによる進水セレモニーの中止等のゴタゴタで1958年11月にやっとユニオンキャッスルに引き渡されました。

こんな経緯で建造された船のためかデザイン的にみればPretoriaやEdinburgh Castleの低船楼でスリムな長い船体フォルムから次世代客船となるTransvaal Castleの船楼デッキ数を増やしながら均整の取れた2等辺三角形型となるようなフォルムへの橋渡し的存在となっているのかもしれません。

1959年1月1日の処女航海後、船はその年のシップオブザイヤーを獲得するなど順調な運行サービスを展開し、それまでの8客船による定期往復運航を7客船に減らすコスト削減も実現しました。その後は幅広い年齢層へのアピール策として船内提供娯楽プログラムを大幅に見直し好評を博しています。

1970年代初期のオイルショックとジェットトラベルの台頭による影響によってUnion Castleは定期航路サービスを縮小、1976年6月をもってPendennis Castleもアフリカ定期航路運行を停止します。

その後船はOcean Queen Navigationに売却されOcean Queenと新たな名前を付けられてクルーズ船への転向を模索されますが結局運行サービス復帰はかなわず、1980年に台湾でスクラップになっています。

 

総t数:2万8582総t

船体長:232.5m

船体幅:9.8m

推進装置:ギタードタービン2基/2軸

速度 :22.5ノット

 

このキットについて

CMKRの1/1250スケールダイキャストモデル。

外観、細部とも良い出来のモデルなのですが輸送時にモデルが箱底の固定粘着テープから外れたのか船首にちいさな塗装剥げ、左舷ブリッジ張り出しが折れ曲がった姿で届きました。

また前の持ち主の方が塗装と改修されたのでしょう、主要デッキはウッド色に塗装され、材質の異なる無塗装の船首マストが接着されていました。

この程度のダメージはもう慣れっこですからまず修理。

ただ、何かイメージが違います。何か違和感が……..

ブリッジ上のレーダーマストが無いのです。Pendennis Castleは就航当初からレーダーマストが設置されていました。設置跡もありましたのでたぶんe-BAY到着時にすでに外れてしまっていたのでしょう。箱の中にはパーツのかけらもありませんでした。

そこで 

1)ブリッジ張出しのゆがみはペンチでゆっくりと戻し整形し、ヒビには  

   低粘度の瞬間接着材を充填・乾燥後、軽く研磨し再塗装。

    船首の塗装ハゲ部は幸い船体の歪み、凹みは無く再塗装のみで。

2)ボートデッキのライフボート下やプロムナードデッキ等の細かい内部 

   デッキやマスト廻り等未塗装部分も多かったのでここを追加塗装。

3)船体部に散見する小さな塗装剥げや塗り分け部の塗装被りを修正。

4)船首マストを艶消し白で塗装し、紛失したレーダーマストを自作追加

 

といった点が主な作業でした。

 

船尾から

上からの俯瞰

中央船楼部

 

 



SHAW, SAVILL & ALBION LINE

SS Southern  Cross 

サザンクロス

1955年2月にShow, Savill & Alvion Lineが同社フラッグシップとして豪州定期航路に投入したサザンクロス 2万200総tです。

造船所はあのハーランド&ウォルフ。

同じ造船所のレイナ・デル・マーにもこの船の面影がありますね。

船体後部にエンジンルームとファンネルを置いた定期航路客船にはキャンベラ、ロッテルダムと名船が幾つかあります。

騒音や振動の源となるエンジン機器類を可能な限り後部に集中させ、従来の貨客船で大きな空間を占めていた船首や船尾の船倉を廃し、純粋な客船として広い公室やキャビンを前方に置くこのデザインは英国から豪州までの長旅の間、ファンネルからの排煙を気にせず船上デッキで日光浴やスポーツに興じられるとともに静かで快適な船内時間をゲストに提供するための画期的なアイデアだったとされます。

サザンクロスはこのコンセプトにより造られた同社初の豪州航路用2万t級の純客船でした。

定期航路サービスが衰退した後、クルーズ船にも適した同船は幾つものクルーズラインを渡り歩き、あのプレミアクルーズでもオーシャンブリーズと名乗って高級クルーズサービスを提供していました。

永らくクルーズ船という第二の人生を歩んだ同船も2003年に廃船・スクラップに。

P&Oのキャンベラもサザンクロスのこのコンセプトの成功を模範にしたとも言われています。

 

このモデルについて

CMKR社製の1/1250スケールのダイキャストモデルで久々の再販品と思います。

このモデルでは船窓の彫りも深く、墨入れは不必要でしょう。

全体のプロフィールもこの船の特徴を良くとらえていますが、唯一ブリッジのある中央ハウス部の高さがあり過ぎる点が少し気になります。これはなんともし難いところ。

入手品には船体塗装の塗り分けラインに乱れがありましたがこれは修正可能です。

後手を加えたところは以下のような点です。

1)デッキは同船カラー写真から判断して、船首の上甲板とブリッジトップのみグレー

   として、残りは全てタンで塗装してあります。

2)船尾のファンネルは南十字星を表す黒のクロスが描かれている時期と描かれていな

      い時期がありますが今回十字星を手書きで入れました。

3)船首楼デッキ左右に小型のクレーンが装備されている写真もありましたので追加し

      ました(この時期のファンネルには十字が描かれています)

4)真鍮線でハーランド・ウルフお得意の船首クレーンを再現。その他メインマスト

      デッキに幾つかポール等を追加しました。

 

オリジナル

改修後

オリジナル

改修後

 

 

ラインの乱れ

ライン修正後


SS Northern Star 

ノ-ザン・スタ-

先にご紹介したSouthern Crossの姉妹船ノ-ザンスター2万4731総t。

サザンクロスの船体デザインやアコモデーションコンセプトを踏襲し、さらに若干船容を大型化してサザンクロスとは異なるビッカース・アームストロング社に発注されました。1962年に同じ南アフリカ・豪州ルートに就航しています。

70年代には定期航路集客の低迷からクルーズサービスに特化しましたが追い打ちをかけるようなオイルショックによる運航経費の高騰から1975年夏をもってサービスを停止し、年末にスクラップになっています。

 

このモデルについて

WIRRALの1/1250スケールレジンモデルです。

船体塗装は就航初期のShaw Savillのグレーに白の一本ラインの姿です。

今回は船窓等の墨入れ、デッキ附機類とレーダーの塗装のみです。

 

オリジナル

改修後

 

 

改修後

改修後

 

 


SS GOTHIC 

ゴシック

Shaw Savill & Albion Steamship Lineが英国老舗造船所の一つ、Swan Hunterに発注し、1948年の年末に豪州、ニュージーランド路線に就航させたCorinthic級貨客船の4番船SS GOTHIC 1万5900総tが今回の船です。

Corinthic、Athenic、Ceramicの4姉妹中、三女のCeramicとほぼ同じ船容だったこの船は1952年に英国王室専用のRoyal Yachtに改修されて英連邦宗主である英国国王の豪州・ニュージーランド公式訪問が計画されていました。しかしその直後にKing George Ⅵ世が崩御し、公式訪問は一端ご破算になってしまいます。

その後も船の改修は続けられ1953年に完成。1954年に即位したQueen ElizabethⅡ世の初豪州公式訪問に利用されました。

歴代82番目のRoyal YachtとなったGOTHICですが、その後任83番船のBritannicを最後に正式なRoyal Yachtとなった船はありません(84番船は一般クルーズ船のチャーターという形で王室の休暇旅行用に運行されましたのでこれをRoyal Yachtとは数えない人が多いのです)。

今回この船のレジン製キット(A.H.Models:旧Len Jordan)をいただきましたのでRoyal Yacht時代のGOTHICとして製作を決め、その過程を簡単にまとめてみました。

製作過程はOblivionのBubble-shipに続く模型製作第二弾として別途公開しています。ご興味のある方はどうぞ。



Royal Mail Line

RMS ANDES 

アンデス

Royal Mail Lineが競争相手のフランスCie Sud Atlantique(後にFrench Lineに吸収)のPasteur(パスツール:フレンチラインコーナーにて展示中)建造計画に対抗すべく1939年にHarland & Wolf造船所にて建造した豪華客船アンデス 2万5895総tです。

船は完成したものの第二次世界大戦の拡大でイギリス政府に徴用され、そのまま兵員輸送船に改装されたために実際に客船として南米路線にデビューしたのは1949年でした。

当時の定期航路船(兼クルーズ船)は3クラス制が一般的で、実際収益に一番寄与したのはこの三等を利用する移民や団体観光客でした。

このアンデスは競合相手のパスツールよりも一回り小型であることを逆手に取り、最初から三等を設けずに船内の内装の豪華さと一等客300名、2等客200名という総トン数に比して乗客数を大きく抑えた超ラグジュアリー路線を選択した異色の船です。

その後フルタイムクルーズ船に転向し、同時期に活躍したCunardのCaroniaと肩を並べる豪華クルーズ船として高い評価を受け続けました。

残念ながら1960年代後半のオイルショック後、当船の船客数を極端に減らしたラグジュアリー路線による高コストの運航経費が裏目に出てしまい、1971年にベルギーにて廃船スクラップになっています。

 

このモデルについて

Albatrosの1/1250スケールダイキャストモデルです。

塗装仕上がりも非常に良く、デリックブームの修正に加え、マストや船体の一部塗装剥げや艶消し白塗装が薄い部分を追加塗装で修正したくらいです。

 

船首から

 

 

船尾から

船首部

船体中央部

船尾部



Ben Line Steamers

MV BENLADY 

ベンレディー

ベンラインが(現:Ben Line Agencies Ltd.)19年に建造した貨客船ベンレディー 8756総tです。

当時としては21ノットを出す高速船で1972年まで同社極東域でのサービスに従事しました。

その後イタリア、パナマ、イギリス、スリランカと転々とし1987年にスクラップになっています。

後日Revellの客船シリーズキットの一隻として1/480スケールのプラキットもご紹介しましょう。

 

このモデルについて

HANSAの1/1250スケールダイキャストモデルです。

ハウス周りは結構細かい仕上がりで好感が持てます。

 

船首より

 

船尾より

カーゴデッキ部



British-India Steam Navigation (SN) Co

SS Uganda 

ウガンダ

British India SNが東アフリカ航路向けの貨客船として1952年1月に竣工させたウガンダ 1万4430総tです。

ファーストクラス166名、ツーリストクラス133名の乗客に11000立米の貨物を積載するこの船は2基のスチームタービン(二軸)で19.5ノットの速度を出せたと言われています。

15年間ロンドン-東アフリカ間の定期航路客船として活躍した後、船名はそのままで1968年P&Oが新オーナーとなりクルーズ専用船に改装されます。

280万ポンドを投じた改修で船内は専用バス付きのキャビン306室、共有バス仕様の920客室が設けられ船容も16,900総トンに増えています。

主に地中海やスカンジナビアにおける14年のクルーズサービスの後、フォークランド紛争時には英海軍の病院船、兵員輸送船として徴用され、帰還後には再び民間船に戻されたものの係船状態に。

1986年にTriton Shipping Coにスクラップ用に売船されトリトンと改名して台湾沖でスクラップ待ちをしていましたが台風14号(Wayne)によって浜に押し出されて座礁、横倒しとなり結局そのまま廃船解体となりました。

 

このモデルについて

アルバトロスの1/1250スケールのダイキャストモデルです。

デッキもファンネルも綺麗に塗り分けられており、船窓の彫りも深く墨入れも不必要でしょう。ただ船体に引かれていた一本の金(黄)帯(写真等ではどう見ても細い緑なんですが)が船体中央部で少し擦れかけていますので後日リタッチした写真をアップします。

 

船首部

緑の一本線を船体に

 

 

船体中央部

船尾より

 

 



Eastern Steam Navigation Company

SS Great Eastern 

グレートイースタン

1859年、当時世界最大・最長の蒸気船としてEastern Steam Navigation Company(イースタン蒸気船会社)が建造した

グレート・イースタン 1万8915総tです。

当時の一般的な蒸気客船が3000t程度の時代でしたから船体長が200mを越えた巨船は建造時から注目を集めました。

世界で最初の2重船底構造を持つ頑丈な鋼鉄船で推進力には一基のレシプロ駆動による1軸スクリュー推進装置とともに各2基のスチームエンジンで駆動される直径17mの外輪パドルを両舷中央部に装備。舵も当時としては画期的な遠隔パワーステアリング機構を装備していました。

5本ファンネルに6本のマストを擁した画期的な蒸気巨船で乗客数は4000名でした。

しかしあまりの巨船ゆえ進水後もテムズ川にあった造船所から移動に手間取り立ち往生。悪戦苦闘の末にテムズ川デドフォード(Deptford)の埠頭ドックまで移動して艤装が続けられましたがその後も工事遅延や資金繰りの悪化に加え、公開試運転でファンネルの爆発事故を起して死者まで出してしまうといった御難続き。

1860年にサザンプトン・ニューヨーク間の大西洋航路客船としてデビューしたものの処女航海の乗船客は先の爆発事故の影響もあってか40数名のみ(乗組員数はその10倍!)。その後もエンジン不調に悩まされ続けて激戦航路での客船サービスは不調に終わってしまいます。

その後、船は海底電信ケーブル施設船に改装されアメリカ-ヨーロッパ間の電信網開通に寄与しました。その間に1867年のフランス万博(大博覧会)時にフランス政府がチャーター。再び客船としてフランスとニューヨークを結ぶ記念往復旅客サービスを実施しています。

その後はリバプールの博覧会場における洋上会場船として使われたのを最後に1889年同地のマージー川浅瀬で解体に。トップマストは今でもリバプールフットボールチームのグラウンドでフラッグポールとして見られるようです。

余談ですが解体作業中に建造時に行方不明となった少年作業員ら2名の遺骨が見つかり、画期的な蒸気客船として注目を集めながらもあまりに不遇とも言える船歴を辿ったこの船のいわくが当時色々と噂の種になった様です。

しかし実際にこのエピソードが事実であったのかどうかは現代においても諸説が有って確定していないようで。

まあこの手の話はタイタニックにもありますからね……….。

 

このモデルについて

Mercatorの1/1250スケールのダイキャストモデルです。

当館に到着当時6本のマスト中後部3本が曲げられ、その為に折れてしまったのかマストが幾つかの部分に折れてしまっており、それをボックス内にテープで留めた状態でした。紙箱は専用品で高さも十分、折り曲げる必要はないものでした。

Rex依頼の久々の衝撃.......

発送元でか、業者検品時が(発送主、または輸送事故ならば請負業者入庫の検品時に写真と共に商品の状態が購入決定時と異なるからキャンセルしますか?と一報入れてくるのが常なんですけど.....)どちらにしてもひどい状況ながらそのパーツが全て送られてきていたのは不幸中の幸い。写真を撮って調査依頼も出来たのですがこれもまた面倒なので。

まあここまで戻せたのは奇跡(笑)。

話をモデルに戻して、このグレートイースタンも良く出来てます。

船首のアンカーチェーンを0.03mm黒のゲルサインペンでその繊細なモールドを生かして塗装。

あとは両外輪パドルの窪みに墨入れした位です。

ニューヨーク港に入港したこの船の写真の一つには船体に白の一本線が入っているんですが.........

船体にもそれらしき凸モールドがあるのでこれを生かすのも手かな。

 

後部から

船首部

船体中央外輪部

 

 

船尾部



NELSON LINE

RMS Highland Chieftain

ハイランド・チーフテン

1929年ベルファストのハーランド・ウォルフ造船所で竣工したネルソンラインのハイランド・チーフテン 1万4232総t

です。

同社の南米航路用客船として建造された同船はロンドンとリオデジャネイロ、モンテビデオ、ブエノスアイレスを結ぶ定期航路に配船されます。

姉妹船にはMonarch、Brigade(Ⅱ)、PrincessにPatriot(もう一隻HopeⅡが作られましたが直ぐにポルトガル沖で沈没)の5客船が建造されました。

1932年のネルソンラインの倒産により、5姉妹船共々Royal Mail Steam Pocket Companyに移籍。ファンネル、船体をそれぞれイエローと黒に塗り替えられて同じく南米航路サービスに従事します。

1939年の大戦開戦からは兵員輸送船に徴用され、終戦後の1948年にやっと定期航路船に復帰しています。

その後は1959年にCalpe Shipping Co.に売却されて捕鯨船に改装され、Calpean Starと改名しますが1960年3月にモンテビデオ港から離れる際に舵を破損し、牽引されながら離港中に今後はボイラールームで爆発事故が発生して沖合に着底。船体はそのまま放置され、1965年にやっとスクラップになっています。

 

このモデルについて

アルバトロスの1/1250スケールのダイキャストモデル。

まずネルソンラインのファンネル塗装と当時のブリッジ廻りの塗装がおかしいのでこれを再修正(うーん、仕上がりがイマイチ)。

次いで船首船尾のマストが高すぎるので写真を参考に15mm程度カットし、フォアマストに前方監視籠を追加。

後はボートダビットの整形と塗装ハゲ・ひび割れを塗装で修正しました。

 

オリジナル

修整後

 

 

修整後

修整後