11号館:骨董の世界

当館納戸に入れっぱなしの骨董品コレクション展示室です。

まだ数十年程度の現代作家の若い品もあります。

展示品に関する説明は譲り受けた骨董店店主や前の持ち主の方から伺った話や書籍資料等(少しは勉強はしたんですけどね)からの受け売りですのでご容赦のほどを。


七宝焼き合子「しづくの風」 三浦明子作

骨董というほど古いものではありません。

骨董屋で手に入れたものなので(笑)。

七宝焼きの著書も多い三浦さんの作品で、東京三越で販売されたものだそうです。

表面は写真よりも茶が濃い磨いた銅地金に近い色に美しい孔雀の羽のような模様が七宝で描かれています。

蓋をあけるとこれまた変わってラピスラズリの様な深いブルーに金箔を散らし、まるで宇宙の様に幻想的な仕上げになってます。もしこの中に入れたらプラネタリウムの中にいる様な気分でしょう。実はこの内側が気に入り購入した位です。

合わせ部の覆輪は銀ではないかとのことでした。

実は12年前に入手してから今回この写真撮影のために初めて桐箱を開けました。

前の持ち主の方がお使いだったのこの覆輪部に少しすれもありますが購入当時のまま美しい姿をまた見ることができました。

桐箱

箱書き

 

 

蓋を開けると

模様拡大

 

底部内側

蓋内側



七宝焼き 高足菓子器 佐藤七宝店製

愛知県で尾張七宝の製品を製造販売されている 佐藤七宝店さんの昭和40年代の製品と聞かされています

写真がへぼで美しい乳白がかったウグイス色がお伝えできないのが残念です。

蓋には梅枝模様が大きく描かれています。

この七宝焼きも12年前に手にいれたまま箱に入れたままでした。上下別々に厚めの黄色の羅紗布に包まれて木箱に収められていました。

覆輪部に少しすれがある以外はキズ等ありません。

桐箱

 

蓋書

蓋裏

覆輪部の擦れ

 



酒杯 平安竹泉(三浦竹泉)作 1

細かい貫入肌に菊の花の赤絵を添えた酒盃です。

盃は平安竹泉、画は山人とされる方が描いたと煤けた桐箱の蓋に墨でしたためられています。

陶工平安竹泉(三浦竹泉)は現五代目の方ですが調べたところ桐箱裏の署名と落款、盃の高台内に押された陶印を見ると早くに亡くなられた二代の方のもののように見えます。

http://www.tenpyodo.com

 

 

直径:59mm

高さ:30mm

 

桐箱

桐箱の蓋裏

 

盃見込みの赤絵

盃の赤絵

 

高台内の陶印

 



酒杯 平安竹泉作  2

また小さな木箱が出てきました。

平安竹泉(5代)の酒杯と思います。

友箱の表には旧字体で

「礬紅戧銀 觴(さかづき)」

と墨書きされ、少し判然としませんが共布と同じ落款(?)があります。

箱裏には平安竹泉造と墨書き、落款2つ。

杯は胴部を朱色に青海波の銀彩を一本ずつ手書きし、縁取りにも銀彩を一巻き置いています。

箱書きの礬紅戧銀はこれを指しているのでしょう。

 

  直径:67mm

  高さ:30mm

傷やホツ一つない非常に美しい杯です。

友箱

箱裏

箱裏落款等

 

  

酒杯裏

青海波の銀彩部



正倉院御物写し螺鈿宝玉箱 東雲作

当館収蔵品の中で10本の指の中に入る秘蔵品(笑)をご紹介します。

奈良漆器の名工東雲作の螺鈿宝玉箱です。

正倉院の御物の写しで薄い木材に漆を塗り上げ底部以外全面に螺鈿細工で装飾が施されています。

箱の内側は古代織りの布張り仕上げです。

奈良の骨董店を通じていただきました。桐箱の蓋が経年で少し反りが出ていますが、いただいてから一度蓋を開けて見ただけでそのまましまっていました。

当館でも約14年ぶりの保管品の現況確認です。

桐箱裏と宝玉箱蓋裏に「東雲作」の墨入れ(印象あり)と金文字が施されています。作者の東雲先生は奈良漆器では知らない方はいない名工とされている方です。

1980年代の作と聞いています。

  縦128mmx横113mm

  高さ80mm

小ぶりですが浦島太郎の玉手箱はさもありなんといった宝玉箱。開けても煙は出ませんでしたが......

骨董屋さんが美しい房結びをしてくださっていましたが、結び方を確認せずにほどいてしまい、恥ずかしながら元に戻せません。仕方なく文箱の双輪結びで再度しまいましたが写真の結び方をご存じの方がいらっしゃいましたらお教えいただけると助かります。

 

桐供箱

蓋の表書き

蓋裏の署名類

 

14年ぶりご開帳

蓋裏の金文字

 

宝玉箱の螺鈿

箱の内側

 



李朝染付け壺と白磁祭器

これも骨董屋さんから買い求めたものですが当館では残念ながらこの手の品の真贋を判断できる知識と心眼は持ち合わせていません。

ただ前の持ち主の方はだいぶ大事になさっていたようです。

ご覧のように2つの陶磁器の関連はなく同一の時代ものとして一緒にしまっていたものなのでしょう。

箱と箱書きは前の持ち主の方が保管用にしつらえ、ご自身で書かれたのではないでしょうか。相当達筆な方です。

白磁祭器の高台?裏の造りを見れば時代があるとしても元は生活雑器の部類のもので、あまり出来の良いものとは思われないのですが。

この品購入後、15年間に渡り全く箱を開けていませんでした。今回初めての取り出しにて写真に撮りましたので展示しました。

 

時代桐箱

箱の中

箱書き

 

染付け壺の

内部と高台裏

 

祭事器と高台裏

 



瀬戸天目茶碗と黒塗り天目台

収蔵棚を整理していましたら古い取手の付いた木箱がありました。正面に和紙を張り保管物を墨書き、箱底には直接作成者?と花押に年月日が直に

「常朋古?町 文政二年九月の作」

と墨書きされています。

中は黄色の厚手の羅紗布で包まれた窯変天目のような小ぶりの瀬戸茶碗と金埿彩を施された黒漆の天目台でした。

天目台に一箇所かすかな擦れがありますがお茶碗共々ほとんど無傷といって良いでしょう。

購入履歴を調べなしたところH15年に個人の方から譲っていただいたものでした。旧家の蔵から出たものとのこと。

今頃天目台にある家紋に目が行き、調べましたところ山紋の五つ山という家紋でした。この五つ山の家紋は山の付く名前の方に多いとのこと。

庶民でこれだけの品を作らせるとなると豪農、庄屋さんのような相当裕福な方だったのでは?と推察してます。

 

蓋書き 

 

箱底書き

天目茶碗

天目台



唐物螺旋絵変り菓子盆

極薄の螺旋で庭園の山水を描いた小盆の5枚セットです。

全て異なる庭園図で蘇州に点在する劉園等の名園めぐりを彷彿させます。

状態はまだ良いのですが一部大きめの螺旋部分にヘアークラックが見られる物もありました。

2002年頃短期間ですが骨董に凝っていた時に購入したものですがこれも13年ぶりに箱を開けましたので当時からあったのか当館の保管庫での保管中に発生したのかは判然としません。

まあこんなデリケートなものを茶席の菓子盆に使うとも思えず鑑賞用と思います。

寸法 

縦・横:108mm

高さ    :12mm

   




九谷焼きの蓋物

関西の骨董屋さんから買い求めた物です。ある旧家の古蔵開きの際に煤けた木箱に納められていた九谷焼きの大きな蓋物。

蒸かし物等の熱い料理が冷めないように使われた食器だったそうです。

 

骨董屋さんの見立てですが蓋の貫入肌が見えないくらい細く前面に描かれた金彩染錦の絵付け、蓋裏の鳳凰図に胴部の藍染めの吉祥紋の列びは素晴らしく、1800年前後の再興九谷物だと言われました。

後日銀座の有名骨董屋さんにも同様な蓋物が飾られているのを偶然見つけました。

 器の寸法

  直径    :253mm

  蓋を含む高さ:149mm

大事にしてくださいと言われ、すぐに上野の桐箱専門店にオーダーメードで桐箱を造ってやりました。これも13年ぶりのご開帳(笑)です。

 

蓋の図柄

蓋の図柄(真上から)

 

 

 

器上下

器の裏



純銀張色交趾酒器一式 

永楽善五郎作 純銀内張松尾忠久

専用桐箱に杯5客、2本の徳利と徳利置きが納められた色交趾酒器一式です。

交趾焼きは中国発祥の色絵磁器で高温焼成した磁器に色つけをし再度低温焼成して発色させたもので日本では京焼の写しものが有名です。

箱蓋表に「永楽作交趾酒器揃」の墨書き、裏に永楽印と共に純銀張りを金工の名師、金龍堂の松尾忠久が手伝った旨の添え書きと朱印が押されています。

杯裏にも永楽印があります。

これも関西の骨董屋さんから買い求めました。

 

桐箱

箱の中身

色交趾酒器一式

箱蓋表書き

蓋裏

蓋裏の墨書きと永楽印

落款(朱印)

 

共布?で包まれた杯

純銀内張の杯5客

色交趾の杯

杯裏の陶印

黄交趾の徳利

徳利裏



蒔絵文箱

和紙を何重にも重ねて造られた紙箱の外側には全面鹿革を張って金彩・銀彩の鷺の休む姿や城郭の遠景蒔絵を施し、内側には黒漆が塗られています。

奈良時代の漆皮工芸の流れをくむものだそうです。

そういえば出張でよく訪れた兵庫県姫路にも同じような彩色皮工芸が栄えていました。

奈良の骨董屋さんから購入してから十数年しまいっぱなしで、もう皮や銀彩がダメになってるかもと包みを開けてみました。革は当時よりも少し乾燥して艶が落ちていましたが銀彩はまだ黒くなってません。

購入時の角当たりのキズ以外はそのままでした。

革専門店で購入した鹿革ジャケット用のオイルで軽く表面をメンテナンスしてやりましたらまた艶が復活しましたので写真を撮ってまた納戸に。

でもそろそろ使ってやらないと............

時代は古いものではなく明治後期~大正期の奈良漆皮工芸品ではないかということ。

文箱寸法  

縦:367㎜ x 横:278㎜ 

高さ(蓋中央部まで):98㎜

(結構大きいです) 

さて城マニアの方に質問です。この図柄の城郭はどこでしょう?白鷺城?

 

文箱内側

 

 

内箱隅の当りキズ



四季花絵替わり蒔絵金彩盃

外は朱漆、内は金漆をベタ塗し、その内側金地に四季の草木を色漆で描いた盃六客ものです。

一客の口縁外側に小さな傷がありましたがハードケースにしまわれていたことから保存状態は良いとのこと。

昭和30年代の京塗りではないかと言われました。

 

くたびれたハードケース

中の状態は良好

金漆地に桜の色漆画の盃

 

 

裏側は朱漆



金彩葡萄葉文菓子鉢 VISTA ALEGRE

ポルトガルの総合陶器メーカーVISTA ALEGREの菓子鉢です。

1824年、ポルトガル王ジョアン6世の命により開かれたヴィスタアレグレ窯。

四つ葉のクローバーとも花にも似せたデザインで少し透けるような青味がかった白磁の鉢/皿です。

口縁部を金彩と葡萄の葉で囲み、見込には蘭の花が描かれています。

 

 寸法

一辺:195mm 

高さ:  79mm

 

別誂え?の桐箱

 

 

鉢:横から

高台内のメーカー印章



アザミ染付蓋物小鉢 河合卯之助

胴に草紋、蓋に薊を手書きした蓋物小鉢です。

京都「日向窯」の陶芸家河合卯之助さんの昭和30年代の作品とのこと。

箱蓋に「薊画小蓋物 卯之助」と墨書きされ、写真では見づらいですが高台内に卯の作社印があります。

 

直径:84㎜

高さ:70㎜(蓋をした形で)

 

 

 

 

 

 

桐箱の墨書

 

 

蓋部

内部

 

 

高台横陶印



錦織張錫巻き京塗手文庫 平安堂造

京塗りの手文庫内には錦織を張り、口縁部は漆の傷や割れを防ぐための錫を巻いてある手文庫です。

和紙に包まれて桐の共箱にしまわれていた未使用品とのことで漆にスレ一つありませんでした。

蓋には「にしき貼手許箱 平安堂造」と墨書きされています。

昭和30年位の商品だとのことでした。

寸法

縦横:279x202㎜

高さ:36㎜

 

少し煤けた桐共箱

和紙を開けると......

 

 

手文庫裏