船と潜水艦キットの展示室

ギャラリー1号館では1/1250スケールの金属系モデルを展示していますがこちらではプラスチックモデルのコレクションをご紹介します。

 


潜水艦のキット

原子力潜水艦ノーチラス号

1/300 Scale MARUSAN/DOYUSYA

日本最初のオールプラスチックモデルとして1958年にマルサン商店によって製造販売されたキット4点の一つだったノーチラス号(SSN-571)です。

Revellのキットの完全コピーでした。

倒産したマルザン(マルサンから社名変更)から金型を譲渡された現:童友社からプラモデル国産50周年記念として復刻販売されたものです。

 

 

POLARIS NUCLEAR SUBMARINE 

Cut-away Model   1/260 Scale  REVELL

ポラリス原潜の内部再現モデルです。

ジョージワシントンだと思うのですが箱絵等には船名の記載がありません。

今度再確認してみましょう。

内部は結構細かく再現されており、ドイツレベルのクラシックシリーズ(最近の再販版)ならいざ知らず、発売当時よくこんなキット出せたなとびっくりしたものです。

RENWALからも同様なキットが出ていましたがポラリス発射ハッチの位置や原子炉ブロック、片側の船体が全面取り外し式と少し異なるところもあります。

 

 

U-Boat Type ⅨC  Wolfpack   

1/200 Scale    Nichimo

日本模型がまだ模型ビジネスを中核としていた時の出来の良いキットです。

初版ではなくて再版品だったはずです。

パーツ構成を見ると最初はモーターライズだった様に見えます。

モーターライズとしてもパーツ数が多くディスプレイモデルとして十分鑑賞に堪える出来です。

 

 

TYPHOON Class Submarin

1/350 Scale     DRAGON

1980年初頭当時世界最大の戦略核ミサイル(SLBM)原潜として世界を騒がせたソビエト連邦のタイフ-ン級潜水艦4万8000tのキットです。

タイフーンという名前はNATOの呼称で本国では941型アクーラ級と呼ばれていました。

タイフーンはどうも搭載された長射程弾道核ミサイルR-39の呼称だったとの説もあります。

このタイフーンの特徴はなんといっても大型原潜を横に2隻並べた様な船体セイル前部にずらりと10基ずつ2列で並んだ弾道ミサイル発射装置でしょう。あまりに大型で運用経費がかかるため6隻のみの建造で終わってしまいました。

 

 

SNN-21 SEA WORF ☆New

1/350 Scale    Bronco Models

米国攻撃型原子力潜水艦シーウルフ級の一番艦のキットです。

米国海軍歴代潜水艦として最大数の就役数を誇るロサンゼルス級原潜の後継としてさらなる隠密行動性と水中高速巡行性を発揮できる攻撃型原潜として建造が決まった同艦は巡航速度25ノット/最高速度35ノットを誇る静粛型攻撃原潜として就役しましたが建造コストの高騰から結局3隻で打ち切りとなっています。

またこの艦は攻撃力の増強を目的にロサンゼルス級に搭載されたVLS(艦橋後の船体垂直発射管:ロサンゼルス級は12セル)は再び廃止され、従来の攻撃型原潜標準装備数の2倍にあたる8門の魚雷発射管から各種魚雷、ミサイルを発射するシステムとしていました。

 ご覧の通りパーツ数も少ないあっさりとしたキットです。

 

 

JMSDF YUSIO vs SOVIET DELTAⅢ 

海上自衛隊ゆうしお vs ソ連海軍デルタⅢ 

1/700 Scale     DRAGON ☆New

当時こんな海中シーンを彷彿させる箱絵で自社の単発キットを2隻パックで同梱させる趣向が流行ってました。

 

 

 

 

 

その他のキット

宇宙海艇 コスモイーグル 

ノンスケール アオシマ ☆New

1964年初版販売されたゴールデンドラゴンというゴム動力、自動浮沈装置付きのミサイル(原潜)潜水艦キットの名称変更再販版。

まあこの時期の涙滴型潜水艦のキットといえばSFものも含め基は原潜ジョージワシントンと決まってました。

再販当時は宇宙戦艦ヤマトの影響もあってか潜水艦がそのまま宇宙船となって宇宙を航行するSFキットとして古い潜水艦のキットがいくつも再版されました。

自動浮沈装置はこのキットではスペースコントロールと(笑)。このキットの箱絵は敵の攻撃による水柱を避けながら水上艦のごとくまだ海上を航行していますがやはり海・宇宙両用なんでしょう。

またこのキットはサブマリン0007ドラゴンという名でも一時期販売されていました(昭和プラモ年鑑に掲載)。箱絵が異なっていますがこちらはまっとうな潜水艦扱いです。同じ赤いミサイル(というよりも戦闘機?)が発進しているところが描かれています。

 

 

SFアニメ、TVドラマや映画に登場する潜水艦

SFTVシリーズ

「Stingray:海底大戦争」のスティングレーは展示室2BのGerry Andersonの世界に。

「Voyoge to the bottom of the sea:海底大作戦」のシービューやフライングサブ等は展示室2CのIrwin Allenの世界に展示しています。

 

サブマリン707/青の6号

ジュニア 1・2号艇 

1/48 Scale     TASK FORCE

サブマリン707の後部ドーム格納庫から発進する小型潜航艇ジュニアの1号と2号のキット。

その昔今井から発売され当時の多くの子供が1艇か2艇作り銭湯で遊んだのではないかと思われるジュニアの復刻版かと思いきやタスクフォースの新金型キットとか。

ゴム動力による船首プロペラ駆動による推進も同じという懐かしキットです。

後部ジェット水流との併用推進とコクピットのバブルキャノピーから707Ⅱ世に搭載された一番人気のあったジュニアⅡ世のキットですね。

このジュニアは原作者の小沢とおるさんによれば米国戦闘機P-51ムスタングがそのスタイルの原型とか。

自身は青の6号に搭載された次世代の横長新型のフリッパーのデザインが気に入っていたんですがいやいやこのジュニアもなかなか味がありますよね。

 

キットの内容です。ミニサブマリン707がおまけ。

 

 

Submarine 707   Taskforce

子供の時に銭湯に持ち込んでモーターライズVer.を久々に入手しました。

金型は今井科学時代の昔のままの復刻版の様です。

当時はモデルの塗装など思いもよらない時代。当時からキットはそれなりに仕上がるマルチカラーパーツ設計だった記憶が。

昔の銭湯はいろいろ持ち込んでも一切怒られなかったんですよ。子供にとって銭湯はおもちゃのお披露目社交場でした。偶におもちゃがぶつかったりすると入浴中のおじさんに怒られたりすることはありましたが(笑)とにかくおおらかな時代でした。

当時はモーターは別売だった様な記憶もあるのですがこの復刻版ではモーター付き。

当時各社メーカーが自社のサブマリンキットで謳っていた独自の自動浮沈機構を搭載。モーターライズで自動浮沈走行など自宅の湯舟などでは楽しめるわけもなく、みな銭湯に持ち込むことになるのでした。

自身はこの走行ギミックよりコミック同様の船首部、船尾の格納ミサイルギミックの再現、ジュニア1、2号付き(艦橋後ろの格納コンテナは開閉選択式)がお気に入りでした。とにかくよくできたキットでした。

うーん、防水グリース注入なんてもう何十年ぶりになるんだろうか.........

 

 

コーバック号(青の1号) 

コミックス版青の6号より

同じく国際海洋保安機構「青」に属する米国最新鋭原潜青の1号 コーバック号のミニキットです。

どうです、青所属艦中、断トツの最高速度(60ノット)と深海潜行能力1000mを誇るこの秀逸なデザイン!

小さいながらもゴム動力潜航。

船体中央の操舵翼は手動設定式でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

マラコット号(青の3号) 

コミック版青の6号より

国際海洋保安機構の「青」に所属する英国原潜青の3号:マラコット号のプラキットです。国際海洋機構「青」のなかでも2番目の最高速度45ノットを誇る原潜でした。

びんちょう鮪の様な生体デザインも秀逸。

 

ゴム動力によるスクリュー推進に自動浮沈機構も搭載。

なぜかこのシリーズは再生紙のような板紙ボックスに単色印刷の地味な装丁箱で販売されてました。

 

 

SEA QUEST DSV

Sea Quest 

1/600 Scale  Monogram ☆New

海洋開発をテーマにした米国の海洋アドベンチャーSFTVシリーズ「Sea Quest DSV:邦題シークエスト」に登場する主力潜水艦シークエスト4600のキットです。

この潜水艦ご覧のように巨大な古代イカそのままの生物様態を採用したデザインですがUnited Earth Oceans Organization (UEO:地球連合海洋機構)の最新主力潜水艦です。

その全長は307m(1007feet)と原子力空母エンタープライズに迫る巨大な潜水艦で、海洋機構の海洋開発を妨害する海賊組織との闘いに投入され活躍するメインメカでした。

最高速度160ノット(!)、USS-1701エンタープライズ並みの重武装(各種プラズマミサイルや光学兵器類)を満載したハイテク巨艦です。

モノグラムからはシリーズキットとしてこのシークエストに搭載された小型潜航艇Stingerや輸送艇、乗員扱いのイルカEnsign Darwin等が出ていました。

 

 

ノーチラス号あれこれ

この展示室最初に米国初の原子力潜水艦ノーチラスのキットを掲載していますが、もともとノーチラスという名前はジュールベルヌの有名なSF海洋小説「Twenty Thousand Leagues Under the Sea:海底二万里(1870)」に登場する最新鋭潜水艦の名前です。

ディズニーによる映像化によりあの鋸ザメのような特徴的な姿が一般化しました。この時のデザインが秀逸であった為、日本でもカワダのインジェクションキットやゼネラルプロダクト社からバキュームフォームも出ていました。

小説の中では巨大なイッカククジラの一種ではないかとする説明があり、モノグラムはこのイメージのキットも出しています(まだ少数が流通中?)。

 

The League of Extraordinary Gentlemen Ver.

もともとは永らく連載を重ねるアメコミT「The League of Extraordinary Gentlemen」の映画化作品でしたが主人公達の一人としてジュールベルヌの原作に近い人物設定のインド人ネロ船長と彼が建造した潜水艦ノーチラス号が登場・活躍します。

DVDBoxの下部にその姿が描かれていますがこれはちょっと手抜きの絵ですね。

映画公開当時にこのノーチラスとロールスロイスの様な純白のオープン高級車のキットがWAVEから出ましたが、この映画の中のノーチラスが斬新でキットを購入していました。

荒唐無稽なストーリーですが結構面白い映画でした。

 

WAVE 1/700 Scale Nautilus Kit

 

 


Pegasusu Model Ver.

新作映画が公開されるわけでもないのですが新解釈のノーチラスのキットが突然ペガサスモデルからリリースされました。

モノグラムのクジラ様のノーチラスキット同様に船体内部も再現されています。

箱絵同様に大蛸(大イカとの説も)の足に絡まれた形で海底に立ち往生するノーチラス号といったシーンをディスプレイできるようになっています。

ここまで細かいディテールで再現されたキットですから少なくともライティングを施したいところ。調べましたらVoodooFXから早速電飾キットがリリースされていました。加えて船体中央のステンドグラス状窓のマスキングシートに船体内外部のブラスエッチングによるディテールアップパーツも販売さています。

 

キット内容

スタンド用大蛸

 

 

Lighting Kit

 

マスキングシート

船外用

エッチングパーツ

 

 

船内用

エッチングパーツ

 

 


不思議の国のナディア版

シリーズを一話も見ていないのでコメントできませんがジュールベルヌ原作からのインスパイア?ものの様です。元異星人宇宙船の改造版という設定でノーチラス号が登場の模様。

ブルーノア、サブマリン707に宇宙戦艦ヤマトのデザインイメージも重なりますね。

 

そうそう、艦橋を覆うような上部船体が左右に開くと飛行甲板になる潜水艦空母ブルーノア。アニメ同様のギミックが再現されたキットを造って風呂場で開いて遊んだ記憶が........

 

 


海底開発研究のキット

SEALAB Ⅲ 1/93Scale Resin-kit

Master Piece Models

1964年から米国海軍が実施した深海における飽和潜水技術確立のためのシ-ラボプロジェクト。その最終段階の海底居住研究施設となったSEALABⅢのキットです。

深海において人体が直接海中で安全に活動するための研究は1940年代からスタートし、飽和潜水技術という活動深度に応じたダイバーに対する減圧と再加圧プログラムの確立と長時間の海中活動拠点となる施設建設を含め、これらを包括して確立するため各国で研究されてきました。

このシーラボ計画はⅠ、ⅡそしてⅢへと段階的に拡張されていきました。

1964年夏にバミューダ沖で実施されたSEALABⅠは4人のダイバーが深度58mで11日間(ハリケーンの接近で当初予定より三日短縮)居住活動を、一年後には海底施設を大幅に改良大型化してカリフォルニア沖合62m下に設置され、3人編成のダイバー達が3チーム編成され各々15日交代で滞在する海底活動が実施されました。

一人のダイバーは最長30日の滞在記録を樹立して成功裏に終了しています。

海軍はこのSEALABⅡの成功に自信を深め、その海底施設を流用・改造した大深度対応型のこのSEALABⅢを完成させて予備実験を進めながら1969年に深度を一気に三倍にした186mに投入。施設の設計耐久深度は300m以上とされていましたが海底設置後に重大な空気(ヘリウム)漏れが発生し、修理に向かったダイバー隊の一人が飽和潜水処理の不備で死亡する事故までが重なったことでこのSEALABⅢ計画は直ちに中止となってしまいました。

米国海軍はこのSEALABⅢ計画後に深海潜水技術開発から撤退しますがその後は民間による実験を含めていくつもの国でチャレンジを続けられてきましたが宇宙開発に比べると人類による深海海底活動は遅れていると言わざるを得ません。

 

キットとしては1970年にオーロラからリリースされた内部インテリアまで精密再現されたインジェクションキットが出ただけで(木製デスクトップ等はあったようですが)、これも永らく伝説のキットとして語られてきました。

たまにオークションに組み立て途中のものや壊れた完成品が結構高価で出品される様な状況で、極めてまれに出る未組立ての完品キットなどはべらぼうな価格が設定されていました。

そんなレアなSEALABⅢのキットをレジンキットながら同一スケールで完全コピーしたものがMaster Piece Models社から「懐かしのキットシリーズ」第一弾として2017年の10月唐突に登場。それがこのキットです。

Fantastic Plastic Modelsの歴代キットの紹介ページでこのレジンキットのリリースを知った次第ですが、この情報中オリジナルのオーロラキットが1/72スケールとなっているのは誤りで、レジンキット同様に1/93スケールが正解です。

内容はオリジナルキットと同じく居住区の半面が透明パーツと通常パーツの選択式になっており、その内部インテリアも完全コピーされていますがやはりパーツ類のバリ取りや研磨調整は必須のようです。

今から50年も前にインジェクションキットでこれを出したオーロラの力量がしのばれます。

ワシントン州にあるマスターピース社製品の取り扱いショップでは125US$と価格設定されています。

でも待って見るものですね。

 

16pの説明書にデカール、ベースにメイン居住区

 

 

右観測室、左潜水室や細かいパーツ類



砕氷船のキット

南極観測船 「宗谷

Japanese Icebreaker ”SOYA"

1/700 Scale     FORESIGHT

日本の初代南極観測船として有名なPL107「宗谷」。この船ほど数奇な運命を歩んできた船もないでしょう。

宗谷はソビエト向けの耐氷貨物船3隻の最初の1隻、Volochaevets:ボロチャエベツとして建造されました。しかし1938年に進水した本船を含む3隻全て、ソ連が契約をキャンセルし引取を拒否(一説では契約性能不足とも、日本軍部が引き渡しの邪魔をしたともいわれています)。

引き取り手のなくなった本船は「地領丸」と命名され辰馬汽船の貨客船として引き取られます(当時2224t)。その後の大戦中は本船の耐氷性能に注目していた海軍に徴用され「宗谷」と改名して特務輸送艦に改造され、幸運にもこの戦下を生き抜ながらも特務輸送艦として幾つかの戦果も上げました。

終戦後は引揚船として活躍した後に海上保安庁の灯台補給船に改造されその任務に就きました。

戦後の世界南極観測年に平和国家日本をアピールするため、その世界的事業に参加を表明したまではいいのですが、当時日本には肝心の砕氷船がありません。

当時の国家予算では新造船の調達はままならず、適当な既存船の改造で急場を凌ぐことになり、すったもんだしたあげく白羽の矢が当たったのが建造当時から耐氷能力をもったこの宗谷だったと言うわけです。

この南極観測船「宗谷」は海上保安庁所属のまま運用されましたので船体番号はその後の正式な南極観測船と異なり、PL107と海上保安庁コードのままです。

氷海に閉じ込められソ連の砕氷艦に救援を要請したり、太郎、次郎で有名な樺太犬達を置き去りにして南極基地から退去したと非難の嵐となった第二次南極観測隊。

翌年の第三次観測隊が太郎・次郎と再会といった幾つものエピソードを残した宗谷。二番艦「ふじ」にバトンタッチした後も老体にむち打ち再び灯台補給船に戻った後に昭和53年に完全退役を迎えました。

現在はお台場の船の科学館(2011年に本館内部は休館)に繋船展示されていることはご承知の通りです。

 

2008年にハセガワから宗谷のベストキットとも言える1/350スケールキットが出ましたが、写真はそれより少し前に出たFORESIGHTの1/700スケールのものです。

初回限定のおまけとしてメタルの1/35スケールの太郎と次郎が付いています。

小型のキットですが南極観測隊の年次別選択も出来る良くできたキットでした。

 

初回特典  1/35 太郎&次郎メタルフィギュア

 

 


新造南極観測砕氷艦5001「ふじ」

Japanese Icebreaker ”FUJI"

1/300 Scale     Nichimo

日本初となる新造南極観測砕氷艦5001「ふじ」のキットです。

ニチモの1/300スケールですがしらせ退役記念と称して再販されたものです。

初版当時はこのような米国TESTORライクのBoxではなく次の「しらせ」同様の一般的な全面絵柄の箱だったはずです。

尚「ふじ」と「しらせ」は建造予算は文部省(現文部科学省)ですがその運用は防衛庁(現防衛省)が行うために自衛艦としての認識コードが与えられています。

 ふじは1965年7月に就役した5250tの少し小ぶりで幅広船体に当時の日本の造船技術の粋を凝らして建造された船です。とは言え昭和基地のある東オングル島近傍の海は氷結も厚くこの新造船「ふじ」を持ってしても接岸を断念せざるを得なかった航海も多かった記憶があります。それでも1984年の4月任務解役引退まで17回(7次-24次)の南極観測航海に従事しました。

現在は名古屋港にて係船展示されています。

 

キットの箱を改めて開けたところ購入当時には気がつかなかったものが2点入っていました。

一つはこのディスプレイモデルを発売当初のモーターライズに再度改造できるオプションメカの販売に関する告知(1年間の限定販売とされていました)。

あと一つが今は模型部門を廃業した日本模型(ニチモ)の鉛筆2本セットが3つも入っていました。

これはボックス、取説のどこにも書かれていませんでしたので10年間まったく気がつきませんでした。

 

Fuji Parts

オプション販売の告知

 

 

記念鉛筆6本


南極観測船「しらせ」

Japanese Icebreaker "Shirase"

1/450  Scale   Nichimo

2008年7月末に退役した南極観測船5002 「しらせ」のキットです。

このしらせは先代のふじの2倍の総トン数と2.5倍の出力を有する世界有数の高性能砕氷艦でした。当時最新の技術を投入したふじでさえその航海中南氷洋の氷海で何度も航行が困難になる状況に直面することがありましたが、さすがにこのしらせは船首砕氷能力の最適化にコンピュータシミュレーションや実験氷海水槽での検討を繰り返したうえでの船体設計を行い、またその余裕を持った航行能力で退役までほぼ完璧なミッションをこなしました。

宗谷、ふじは余生を送る展示係留場所(前者はお台場、後者は名古屋港)を得ましたが、このしらせは保存の声が高かったにもかかわらず船体の大きさ故に地方公共団体等公共施設からの引取希望もなくスクラップ濃厚と報じられました。救いの神か、当時の鉄くず相場が崩れて廃船は一時延期され、延命します。

その後も廃船か保存かの綱引きは続きますが徐々に保存の声が高まり民間の天候情報配信会社のWeatherNews社に売却が決定(船体売却価格は格安だったそうで)。同社は船橋市に「しらせ」を係船して同船の衛星通信や気象観測装備を活用した気象情報センターを移設、見学も受け入れていました。

最近になってより公共法人化した関連会社に移管して管理運営されているそうです。めでたし、めでたし。

 

 

旧ソ連原子力氷砕艦 「アルクティカ」

Soviet Atomic Powerd Ice Breaker

1/400 Scale

旧ソビエト連邦は国のおかれた環境故に古くから氷砕艦の建造に積極的でした。

キットは世界最初の原子力氷砕艦「レーニン」に続いて1975年に就航したアルクティカ 1万9300tです。

当時世界最大・最高性能を有する氷砕艦と評されました。1977年に船舶として初めて北極点に到達する記録を樹立しています。

 

 

米国沿岸警備隊所属砕氷艦

「バ-トンアイランド」

BURTON ISLAND 1/285Scale REVELL

アメリカの古い砕氷船USS バートンアイランド 6515tです。

1946年に就航し、米国沿岸警備隊に配属されたWind Class砕氷艦の6番艦ですがあのバ-ド少佐の異界飛行(地球空洞説でいう内部の世界へ迷い込んだとされました)で有名な謎の南極大陸大調査プロジェクト「ハイジャンプ作戦 1947」にも参加しています。

数々の南極調査オペレーションに参加し、そのタフさを証明してきた同船ですが1958年の第2次南極調査に向かった南極海で氷海に阻まれプロペラの一基を損傷し、航行に支障をきたした日本の砕氷艦「宗谷」の救援・サポートをしたのは有名ですね。

1978年に退役後民間に払い下げられスクラップになっています。

キットはレベル創業50周年を記念してドイツレベルから復刻されたキットです。

 

 


調査船のキット

地球深部探査船「ちきゅう」

1/700Scale BANDAI

海洋研究開発機構(JAMSTEC)が5年の歳月をかけ2005年7月に海洋探査に投入した世界でもトップクラスの最新鋭探査船「ちきゅう」5万7千tです。

地球の地殻構造から地震の発生メカニズムの解明、最深地底域の生物圏の状況に調査に加えて前人未踏のマントルへの掘削到達を目標に現在世界最先端の探索成果を上げている世界が注目する探査船です。

従来から深部探査・掘削船は就航していましたが切削方式はドリルに直接延長パイプを次ぎ足していくライザーレス方式(映画のアルマゲドンで石油探査のプロ達が地球に衝突する巨大彗星上で爆破用の穴を開けるミッションをしていましたね。あのときのドリル方式です)の船ばかりでその切削深度には限界がありましたが、このちきゅうはこのライザザーレスとともにさらに深部に到達可能なライザー方式(切削ドリル/パイプを保護する中空保護管も同時に延長していく)での地殻切削が可能になっています。

船首ブリッジの前に大型ヘリポート、船体中央部は筒抜け構造で、その上に船底から130mの高さに及ぶ巨大な切削やぐらを配置、船尾はライザーやドリル等の各種資材管理置き場になっています。

推進器はディーゼル・エレクトリックですが、特筆すべきは切削探査時の船体位置の精密制御のために船首にサイドスラスター一対に船首と船尾に三基ずつのアジポット推進器を装備しています。

 

写真の様に多色成型パーツで構成されており無塗装でもOK(と書かれている)基本フルハル仕様ですがウォーターラインにも作成可能?の様です。

 

完成写真(Box掲載)

 

 

キットパーツ構成


RV Meteor メテオール

1/300Scale  Revell

ドイツの教育研究庁直轄の海洋調査船 Meteor。

同庁が保有する7隻の海洋調査船(砕氷艦含む)の中でも古参の船体です。

同庁は各保有船の技術情報をハンドブックとして公表しているのですがこのメテオールのテクニカルブックが現在アクセス不能状態で同船の総トン数は不明です。たぶん4000-5000tといったところでしょう(2018.06.17追記:4280総tとの情報も)。

船体後部作業エリアの船体中央寄りに設置された大型クレーンが目を引く調査船です。

 

 

RV Le SUROIT ル・シュロワ

1/200 Scale Heller

フランスの海洋調査船ル・シュロワ号 946総tのキットです。

メーカーはフランスのエレール。

この船は1985年9月のバラ-ド博士によるTITANIC発見においてウッズホール海洋研究所のクノール号とともにフランス側の共同調査船として活躍した船でした。

最近ドイツレベルからも同船のキットが発売されましたがご覧の通りエレールのものと同一のようです。金型を譲り受けたのでしょう。

 

 

 

RevellのBox

 

 

Revellのキット内容



商船と客船のキット

ここではREVELLやAirfix等老舗キットメーカーの客船や商船のプラモデルを紹介しましょう。

NS Savannah   原子力商船サバンナのキット

ソ連初の原子力砕氷船レーニン(1957年就航)に次ぐ世界で二番目の原子力水上船として1962年に就航したサバンナ。ソ連の砕氷艦が純然たる非軍事かどうかは疑わしい点もあり(ソ連の砕氷艦には銃座/砲座が存在するものも:レーニンには確認されていません)、非軍事目的の純商用船としてはサバンナが最初とする見方もあります。

当館でも砕氷船は別扱いとしています。注*1

サバンナも当時としては原子力推進機関の民間商用向け実証船の色合いが濃いものでした。

潜水艦から実用化がスタートした原子力推力船は今では空母や巡洋艦、砕氷船と数多く就航していますが、こと原子力砕氷船を除く民間商用/実験船となるとサバンナに次ぐ西ドイツの貨物(鉱物運搬)船「Otto Hahn:オットーハーン(1968)」と

日本で処女航海時に放射能漏れを起こし大騒ぎとなった「むつ(1972)」にロシアのコンテナ船セルボムプーチの四隻だけです。

ここで話がまた戻りますがオットーハーンには初期から軍事転用を目的とする原子力推進技術開発の意図があったことが後に判明しており、非軍事と軍事という住み分けも難しいのかもしれませんね。

とは言えこれら4隻の商用原子力船は原子炉の放射能遮蔽材や数々の強度的な安全対策によるデッドウエイトが厳しい重しとなり、運行経済性の低さが最後まで解決できませんでした。

セルボムプ―チが原子力推進を残したまま掘削調査船に改修されたほかはすべて原子炉を早期に撤去し、通常動力船に改修されています。

サバンナは米国歴史記念建造物(艦)としてカリフォルニアで博物館展示され、オットーハーンは廃船スクラップ(通常動力船回収後のファンネのみ記念展示)、むつは海洋地球研究船「みらい」に転身して活躍中です。

 

注1)一応海事関連の書籍で通説となっているのは以下の通りで、順番は就役または処女航海の日時(記載年)による通し番号です。

  参考:世界初の原子力潜水艦(水中船)は米国海軍ノーチラス    1954.09

       1.世界初の原子力水上船はソ連海運局の砕氷艦レーニン        1959.??

  2.世界初の原子力水上艦は米国海軍ミサイル巡洋艦ロングビーチ 1961.09

  3.世界初の原子力空母は米国海軍エンタープライズ       1961.11

  4.世界初の原子力商船は米国連邦海事局のサバンナ       1962.08

       5.米国海軍ミサイル巡洋艦ベインブリッジ              1962.10

       6.米国海軍ミサイル巡洋艦トラクスタン               1967.05

       7.西ドイツ原子力実験商船(後に鉱石運搬船に就航)   1968 (1970)

 

        

N.S. SAVANNAH 

ADAMS Action Model

計画初期のモデルで先の議論の如く箱絵にはFIRST ATOMIC POWERD MERCHANT SHIPと堂々と記載されています。

このモデルの面白い点は中央デッキプール前の公室キャビンの窓がシールで再現されているところでしょう。

内部が再現されているわけではありませんが内部のデッキ部分はちゃんと存在していますので手を加えることは可能です。原子炉も再現されていません。

当時のキャビン内部を伝える公式パンフレットを一部だけご紹介しておきましょう。二枚目下のボールルームラウンジが当キットのシールで再現された云々の公室スペースです。

船体デザインだけでなく内装もモダンの極みの船でした。

 

公式デッキプラン資料

 

 

ラウンジ、エントランスロビー バー併設ボールルーム

 

 

ダイニングルーム


N.S. SAVANNAH 

GRENCOE MODELS

このキットのオリジナルメーカーはITCという米空軍マッハ3級の迎撃機計画F-108レイピアのキットで有名な会社でした。

1990年台にグレンコモデルから再販されたものです。

大味なキットですが当初はモーターライズド仕様だったようで、その痕跡が船底に残っています。再販時には完全ディスプレーモデルに変更されています。

このキットでは原子炉部分は遮蔽容器上部のアクセスハッチのみが船体内に再現されています。

 

 

N.S. SAVANNAH 

1/380 Scale    Revell

原子力貨客船サバンナのモデルと言えばこのレベルの上に出るインジェクションキットはないでしょう。

バブコック&ウィルコック社製加圧水型原子炉を格納容器内に再現し、完成後も前部原子炉上のデッキと原子炉格納容器の上部を取り外して中を見られるようになっていました。ただ配管類のパーツ精度/寸法が狂っているのか組立には相当難儀しますが塗装までしますと結構イケてる造形です。

船首、船尾のカーゴベイはハッチが取り外しできて中には木材をもした貨物を置けました。ライフボートのダビッドは稼働といった点も本キットの特徴です。

上が初期のボックス、下が後年ドイツレベルから再販された新パッケージ版ですが中身は同一です。

 

 

RMS TITANICのキット

タイタニックのキットを造った記憶を辿ると最初はGマ-クが出した1/350スケールのプラモデルでした。

アンカーチェーンには金属のチェーン部品、デッキ前後の大階段が再現された結構ボリュームのあるキットでした。しかし当時タイタニックのキットはこれ単発で終わります。

時は過ぎ、1997年ジェームズ・キャメロン監督映画「TITANIC」が大ブレーク。

模型界にも映画公開に前後して新キットの嵐が訪れます。

5年ほどこのブームは続きアシェット(キットはAMATI製)の木製1/250スケールのTITANICはその頂点と言えるでしょう。

 

 

G Mark 1/350 Scale

Gマ-ク製のオリジナル品ではありませんがこれは同じ金型で造られた中国メーカー製の再販品です。

金属チェーンや張り線用のミシン糸等もちゃんと当時を再現して同梱されていました。

オリジナルキット販売当時にはなかった同スケールのエッチングパーツは別途購入したものでキットの箱に入れてありました。これもタイタニックブームの力ですね。

古いGマークのオリジナル組立て説明書と中国メーカーの取説の比較写真を添付しておきましょう。

 

Gマークのオリジナル取説

 

 

 再販時の取説


Minicraft   1/350 Scale 

Gマ-クと同一スケールながらこちらは新金型でブーム最盛期ながら、

後半の時期にリリースされたキットです。

その分パーツや再現性の出来は上。

 

 

 

 

 

 

Academy 1/400 Scale 

G-マーク、Minicraftの1/350よりは小さいながら当時出来の良さで評判となった新金型キットです。

Miniceaft社のキットと双璧の出来といえるキッとかもしれません。

ブラスエッチングパーツも同梱されていました。

 

 

 

Revell  GIFT SET    1/570 Scale

1/570スケールで単品販売されていたキットに分厚いブックレットと塗料に筆、接着剤までセットにしたギフトセットです。

映画のブームに便乗したキットでしたが単品で販売されたキットの箱絵と連動した有名な絵画タッチの挿画をそのまま使っています。

この後、船尾部が折れるんですね。

ドラマチックな場面を採用したものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Revell 1/570 scale  ☆New

上記のギフトセットのキット単品販売版です。

箱絵が氷山との衝突間際というこれまた他社とは趣向を変えたキットでした。

 

 

 

 

 

 

Academy 1/600Scale ☆New

同社の1/400スケールの縮小版的なキット。

同スケール帯のキットの中では一番良い出来なのではないかと思います。

Airfixの客船キット群と同一スケールなのも売りですね。

出ては消えるTITANIC Ⅱプロジェクトが実現したらこのキットをベースに改造しようかと

まあ、まず実現しないでしょうけど。 

 

 

Chinese (unknown)  1/800 Scale ☆New

キャメロン映画によるタイタニックブームもそろそろ終焉を迎えていたころゾロゾロと出たお手軽スケールキットの一つです。

「箱絵は一番!」と言える位に素晴らしいんですが.....

 

 

 

 

 


メ-カ-別キット

REVELLの客船キットシリーズ

上記のN/S SAVANNHAを含め米国レベルは1960-70年代に数々の客船キットを世に出していました。当時の輸入品(マルサン提携)は子供には高値の花でしたがその後、グンゼ産業が日本提携先となり販売されたもの(取説は日本語に翻訳)を購入して製作したものです。当館の保管品はこの当時のストックです。

シリーズの船舶キットのスケールは統一されておらず、どちらかというと完成品の船長での統一のような形でした。

1/500位の飾るのにちょうどよい大きさでディテールもそこそこの秀作キットばかり。永らく再販されてきませんでしたが50周年記念として独レベルからORIANAのみ再販されました。

最後の写真はつい最近(といってももう10年位前になりますが)新金型でリリースされた1/400スケール超弩級キットのキュナード・クイーンメリー2です。

当時世界最大の客船のキットですからそのスケール故にBoxも大きく、壁に立てかけて保管しています。デッキ等の再現性も素晴らしいキットです。

このキット向けにGold Medalからディテールアップ用の大判エッチングパーツがリリースされていました。

現在レベルは1/1200スケールで客船、クルーズ船をぽつぽつ出していますね。

 

尚、各船舶の説明は1/1250スケールのダイキャストモデルを展示しています 1号館「模型で見る世界の客船」での解説をご参照ください。

 

SS United State

MV BENLEDI

RMS Queen Mary

RMS Queen Mary2

1/400 Scale

 

 

SS ARGENTIN

SS BRAZIL

SS ORIANA


Airfixの客船キットシリーズ

英国Airfix(エア-フィックス)社からも同国キュナード、P&O等の有名客船キットがシリーズとして出ていました。

こちらのシリーズは1/600スケールに統一されています。

最初のQueen Elizabeth2は就航当時の姿でスリムなファンネル、ブリッジ後ろのテラス付きコンパートメントが設置されていない就航初期の姿(HANSA社のダイキャストモデル)でした。

最初に作ったキットの組み立て説明図をアップしていますが、後日模型店でデッドストックを見つけ購入保管していた記憶がありますので見つけましたら写真をアップします。

初代Queen Elizabethは新・旧のBox品がありましたので併せてアップしました。

Revellのキットに比べてこのAirfixのキットは細かいところに力を入れ過ぎずに全体のフォルムを大切にしているキットのように思えます。

各船の解説は1号館「模型で見る世界の客船」をご参照ください。

 

QE2

RMS Moretania

RMS QE Old Box

RMS QE New Box

 

SS Canberra

 

SS France

 


Hellerの客船キット

Queen Mary 2 1/600Scale

Airfixがリリースするかと思っていました1/600スケールのクリーンメリー2です。先のRevellよりもお手頃のキットです。といってもさすがにエレールですから出来もなかなかのキットです。Airfixのキット群と並べられますね。

箱が被せ式ではなくランチボックス式で箱底にも本船のデッキプランや写真の満載されてます。

パーツ写真(見辛いかもしれませんが)スモークグレーのクリアランナーは船窓やウインドシールド類のパーツです。大きな窓はこれをはめ込んでいく仕様で、ライティングを内蔵しろといっているのでしょうか......。

 

パーツ類 

 

 


GLENCOE  MODELSの客船キット

今はなき米国メ-カ-のキットを再販しているメ-カ-です。

原子力商船サバンナのキットは先にまとめてご紹介済みですので併せてご参照ください。

S.S. UNITED STATES    1/400Scale

オリジナルは米国Ideal Toyのものでモーターライズドキットでした。

時たまオリジナルメ-カ-品がボロボロのBoxでネットオークションに出るときがあります。

パーツを見るとモーターやバッテリーボックス跡やパ-ツもそのまま残されていますのでシャフトやモ-タ-、バッテリー周りを別途調達すれば動力系の再搭載は可能で、グレンコもラジオコントロールにも最適と書いています。

このキットの箱を開けたときに喫水線下の船底部が再現されていてびっくりしたものです。喫水下の船体構造はその突出した高速性能から当時は極秘事項とされていたんじゃなかったのか?それもこんな普通の箱船みたいなデザイン?

いくら何でもこれであの高速を出したとも思えず、まさかモ-タ-ライズにしたくて適当な船底でいいからってわけじゃないだろうな?と(笑)。

最近、最高級シップモデルとの定評高いCSC社のダイキャストモデル群が見られるGalerie MaritimでUnited Statesのフルハルモデルを見たところ、船首から続くなめらかな曲面で構成された船底の両弦には中央部で途切れる形で左右前後計4つのフィンキールが設けられ、船尾には高出力エンジンにつながった4軸スクリュー式の推進装置とちょっと納得の造形でした。

 

 

SS FRANCE

1/450スケールとなっていますが実際は1/500に近い縮尺のキットです。

とは言え永らく世界最長の船として名をはせた船ですからデカいキットです。

このキットもモーターライズドだった様でその部分がそのまま残されています。

ご覧の通り2色成型のパーツで構成されています。

残念ながら未だオリジナルメーカーがいまだ判明していません。

 

 

MODELCRAFTの客船キット

ORIANA 

1/500Scale  Modelcraft

実船については1号館の「イギリスの客船」P&O Lineで詳しく説明していますのでご参照ください。

2005年に突然発表されたキットで最初はどこかの再販ものかと騒がれましたが同社のオリジナルキットでした。

新キットにしては珍しくモーターライズも選択でき、実船同様2軸のスクリュ-駆動を再現するギアボックスが同梱されていました。

 

 

OTAKIの客船キット

QUEEN ElizabethⅡ世 1/450Scale

古いキットです。

Airfixの1/600スケールの初版についでリリースされた大型モーターライズ/ディスプレイモデルでした。

ブリッジ後ろのペントハウス第一期分が増設された姿(まだファンネルはスリムタイプのまま)をキット化しています。

 

 

 

 

 

AOSHIMA の客船キット

NYK Line(日本郵船3姉妹)

1/700 Scale Water Line Seriese

1号館「模型で見る世界の客船」の日本船でも新田丸をご紹介しながら三姉妹の解説をしていますので個々では重複を避けますが、日本の模型業界がタックを組んだこの1/700スケールウォーターラインシリーズで初めて客船を扱ったものだったと記憶します。

キット自体も出来の良いものですが、他の客船の改修用のパーツ取りとしても役立ってくれました。

取り置き以外にもジャンクパーツに船体だけが幾つか残ってます。船体だけは使い道がないですからね。

現在唯一現存している当時のNYKフリー十の氷川丸は病院船として発売されていましたがその後金型改修して定期航路船仕様で再販された記憶があります(あれ、逆だったか?)。

 

2015.11.28 追記

客船時代の氷川丸のキットは自身が部品取りに一番利用していたのをど忘れしていました。病院船氷川丸、少し遅れて客船氷川丸そして上記YNKシリーズと販売されたはずです。

 

押入れの奥から出てきました。

発売当時は日本の客船久々のキット化とあって病院船ではなく、定期航路で活躍していた姿に仕上げた方も多かったと思います。

 

ARIIの客船キット

さんふらわあ   1/700Scale

日本のカーフェリー業界のエポックメーキングとなった「さんふらわあ」

純白の船体側面のあの岡本太郎が描いたような大きな太陽の絵が印象的な同船は1972年照国郵船の子会社、日本高速フェリ-によりその一番船が就航しました。

当時としては1万tを超える大型で外洋客船に引けを取らない豪華な内装を誇るカーフェ-リ-として君臨し、その後次々と同型船4隻(二番船さんふらわあ2,同5,同8,同11)が就航しましたが、日本を襲ったオイルショックによる陸上輸送の低迷、運航経費の増大により会社経営が極端に悪化。加えて親会社の照国郵船の倒産も重なり、徐々に船隊は身売りされていき、最終的には全船が商船三井(運航は子会社のブル-ハイウェイライン)に移りました。

「さんふらわあ」の商標も同社が保有しているようです。

よってキットもそのリリ-ス時期に応じて監修会社名が日本高速フェリ-のものとブル-ハイウェイラインのものとがありました。無論前者の監修キットのほうが古いキットとなりますね。

その後この船はさんふらわあ11とともにフィリッピンに売却されてしまいました。

写真はさんふらわあ一番船の船体デザインを周踏しながらさらに内装を豪華にした「さんふらわあ8」のキット。1/700スケ-ルのモーターライズ/ディスプレイ選択式のものです。

船首、船尾の左右舷側に設けられた4つの巨大なロ-ディングデッキが特徴の船です。このローディングデッキ機構によってフェリ-車両の迅速な乗船・下船と船体の航行安全性が両立されたと言われています。

この船体のキットは1/500?のさらに大きめなモーターライズものも出ていました。1/700キット箱絵側面の船内写真の一つ、売店の背後の棚にこの2種類のキットがおぼろげながら確認できます(昔、実際に作ったからありましたって!)。

このキットもモーターライズとの選択式ですがディスプレイキットとして秀逸の出来のキットでした。

 

 

さんふらわあ2 

1/500 Scale      マイクロエース

1/500スケールのさんふらわあ8のキットととともに再版されたキットです。再販元はマイクロエース。

残念ながら両者ともモータライズ機構は廃止されディスプレータイプとして再販されています。

この「さんふらわあ2」は当初一番船「さんふらわあ」の姉妹船として「サンライズ」という船名で就航する予定でしたが「さんふらわあ」の人気が予想以上に好評を博したために、急遽「さんふらわあ2」と命名されました。

キットは箱絵の通り関西汽船で運行された船体を再現しており、第一次オイルショック後の日本海フェリーから太陽フェリーへの売船を経て、第二次オイルショック後の1979年に実施された客船設備のグレードアップ改修後(船尾のローディングランプ廃止、温水デッキプール、シアターレストラン増設等)の姿(この後の1984年に関西汽船が自社船とバーターによって取得)です。

 

キットはさんふらわあ8と2のコンバーティブルとなっていますが基本的にはさんふらわあ8をベースに2との外観上の大きな差となる後部デッキ部を改造パーツを並べた追加ランナーとして同梱している形です。

デッキも8のパーツ後部を自身でカットして2のものに置き換える形ですがカット位置には写真のように溝が設けられていて切断は簡単です。

当時、さんふらわあ2は販売されていなかった記憶もあり、2/8のこのコンパチ式モデルはマイクロエースのアイデアかもしれませんね。

さんふらわあ8のキットには船首と船尾の4基のローディングランプが残ったままの就航当時の姿ですから同一スケールで並べてみるのも一興です。

 

 

さんふらわあ 11  1/700Scale

さんふらわあ5姉妹中、最大の排水量を誇り、また唯一船体デザインが異なる「さんふらわあ11」。

ご覧の通り英国の豪華客船顔負けのスタイルをもち、この船カーフェリ-?と思わせるほどの優美な船でした。

建造費も他の4隻のコストに比べて約1.2~1.5倍かかったといわれています。

しかし他の4隻に比較して、その大きさとカ-フェリ-としての機能性よりもデザインを重視したしたことが裏目に出てしまい、1993年早くも引退、フィリッピンに身売りされてしまいます。

フィリッピンで船体の改造後、再度フェリ-として活躍していた同船ですが1998年の台風7号の悪天候下で航行中に転覆沈没し、300名近い多数の犠牲者を出す大惨事をひき起こしてしまいます。この事故はさんふらわあ11の船体設計によるものではなく、フィリッピンでの船体改造に加え運航会社の過積載運行の常態化と悪天候の複合要因による人災と言われています。

 

 

FUJIMIの客船キット

ぶら志゛る丸  1/700 Scale  

大阪商船が南米航路向けに建造した「あるぜんちな丸」級貨客船の二番船として1939年に竣工した「ぶら志゛る丸」 1万2752総tです。

日本郵船のNYK三姉妹同様に国策豪華貨客船として計画され、有事には同様に空母に改造可能なように設計されていました。

太平洋戦争勃発のために本来の横浜からの南米航路サービスからは早々に撤退、大阪大連航路に回されたもののその民間船としての期間は短く軍徴用特務船に。

最後はラバウルへの人員・物資の輸送途中に同船の空母への改造がきまったことから早々に引き返すことになり、その帰路にて米国海軍潜水艦グリーンリングに捕捉され、必死の逃走の努力も空しく魚雷により撃沈されてしまいました。

キットはウォーターラインタイプの非常に出来のよいものですが後日船底がセットされたタイプも発売されました。

同じく戦後も生き抜いた「あるぜんちな丸」も発売されています。

 

 

Woody Joeの客船キット

ASUKA Ⅱ 

1/400Scale Woody JOE

元は同じ日本郵船系のクルーズ会社でありファンネルの竜の落し子のマークで有名なクリスタルクルーズが1990年に三菱重工業に発注・建造したクリスタルハーモニー 4万8620t。

就航1年でファイブスター+の評価を得たラグジュアリーシップです。

姉妹船にはクリスタルシンフォニー、その後2003年に三隻目のクリスタルセレニティーが加わりました。

 

同じ系列の郵船クルーズで活躍していた飛鳥がドイツのクルーズ会社に売船された後、2005年にその代船としてクリスタルから移籍して飛鳥Ⅱとして再デビュー。

最近親会社の日本郵船がクリスタルクルーズ社の売却を表明しましたがクルーズビジネスが世界的にはまだまだ活況を呈している中、どうなることやら.......

 

キットはIMAIの木製キットの多くを引き取ったウッディージョーからリリースされたもの。AMATIのTITANICよりは一回り小さい1/400スケールです。

エッチングパーツやホワイトメタルパーツを多様したマルチマテリアルキットですが基本は木。特に船底の造形は今までの木製船舶モデルと異なってレーザーカットされた木製プレートを積み重ねた上でエッジを研磨して落としていき、スムーズな曲面を作り上げていく形式です(相当研磨くずがでますね、これ)。

やってしまえば簡単なのかもしれませんがこの工程にちょっと腰が退けてます。

 

エッチングパーツ

木製飾り台座 

メタルパーツ

木製パ-ツ1

デカール、その他



軍用艦のキット

数は少ないのですが話題となった各国軍艦キットを展示します。

 

CV-66 Kitty Hawkw

1/700Scale  Fujimi

かつて横須賀を母港としていた通常動力型空母第7艦隊旗艦キティ―ホークのウォーターラインキット。

1999年国内新金型、世界初の格納甲板再現キットと名打ってリリースされました。

続いて同型艦CV64コンステレーション等が販売予定されていたこともわかります。

本キットは1973年のCVA攻撃空母からCV汎用空母に改修後をキット化しています。

 

<船体スペック>

起工日/進水日/竣工日:1956/1960/19610/1961(退役2009)

総t数        :4基準排水量6万1351t/満載排水量8万3301t

船長/船幅      :324m/39m

最高速度       :33ノット

 

 

RHMS SHEFFIELD

1/700 Scale      DRAGON

イギリス海軍Type 45 駆逐艦1番艦でクラス命名艦であるシェフィールドのキットです。

アルゼンチンとの領有権争いから勃発したフォークランド(諸島)紛争時にアルゼンチン軍のエタンダール攻撃機が放った一発の対艦ミサイルエグゾセで炎上沈没した当時最新鋭のミサイル巡洋艦でした。そのショッキングなニュースから対艦ミサイルとその迎撃システムの重要性に脚光があたったものでした。

また当クラス艦もこの事案から改修・再設計が2度も施され、船体長のストレッチによる艦上構造物との索敵レーダー電波の干渉低減、船体の対波浪特性や近接迎撃能力の強化が図られています。

 

<船体スペック>

起工日/進水日/竣工日:1970/1971/1975(1985年戦没)

総t数        :基準排水量t/満載排水量4250t

船長/船幅      :145m/14.3m

最高速度       :30ノット

 

 

海上自衛隊輸送艦おおすみ

LST-4001 1/700Scale TAMIYA

横須賀どぶ板探訪記でも横須賀港内で休息するおおすみの写真を載せましたがその海上自衛隊が誇る輸送艦おおすみのキットです。

 

 

 

 

<船体スペック>

起工日/進水日/就役日:1995/1996/1998

総t数        :基準排水量8900t/満載排水量1万3000t

船長/船幅      :178m/25.8m

最高速度       :22ノット

 

船内後部のウェルドックが再現されおり、2隻のLCAC(エアクッション型揚陸艇)が内蔵できます。上部甲板の一部を外してその内部が覗ける様になっていました。

ヘリコプター発着デッキ用アクセサリーとしてCH-47Jも2機が入っています。

ただその後に発売された同型艦LST-4002しもきたに比べるとアクセサリー類が少なくて(しもきたは追加アクセサリーが豊富すぎ:笑)ちと残念ではありす。

 

 

USS Zumwalt DDG-1000

1/350 Scale      DRAGON

米国海軍最新鋭ミサイル駆逐艦として期待されながら結局役に立たない金食い虫と評価され、配備が断念されたズムウォルト級。

ハイテクローコスト沿海域戦闘艦プロジェクトとのHi-Lo配備計画も戦略の転換やコスト高騰により共にご破産状態に。

古くは1980年代に提言された垂直発射型ミサイル(VLS)を前後甲板にずらっと並べたアーセナル艦計画の現代版として紆余屈折した経緯を経て実現にこぎつけたものでした。

このズムウォルト級駆逐艦はステルス艦橋に埋め込まれた多機能センサー類を筆頭に格納型電磁射出式長距離砲塔システム、多機能VLS発射装置群、新型電気推進装置等による徹底したステルス性能が求められた艦として建造されたものの、上記の重要要素の技術開発遅延や実際の運用費の高騰が問題となり配備は3隻で中止に。

 

さてさて米海軍の将来は振出しに戻ってしまいどうなることやら.....

 

<船体スペック>

起工日/進水日/竣工日:2011/2013/2016

総t数        :基準排水量t/満載排水量1万4797t

船長/船幅      :190m/24.5m

最高速度       :30ノット